
セミナー「北欧型新自由主義の到来」(6/21)参加記
2012/06/22
2012年6月21日、スラブ研究センター大会議室において、橋本努氏(本学経済学部)によるセミナー「北欧型新自由主義の到来」が開催されました。
私たちは北欧諸国に対して「成功した福祉国家」のイメージを抱いていますが、当の北欧諸国は1990年代以降、大胆な新自由主義政策を推し進めてきています。我が国においても、自由な市場社会を重んじる論者が、北欧を魅力的な地域として論じ始めています。つまり、右派も左派も今や北欧型社会が良いと言い始めたわけですが、これはどういうことなのでしょうか。
セミナーでは、北欧諸国にて法人税率の大胆な引き下げと柔軟な雇用制度が導入され、これらの国が「積極的労働市場政策型」新自由主義を目指していると説明されました。北欧諸国では、従来よりも失業のリスクが高まっているわけですが、失業者に対してただ失業保険を給付するのではなく、個々のニーズに応じた職業訓練を提供し、各人の潜在能力を活性化させて労働市場への復帰を促進する方策が取られています。
橋本氏は、個々の潜在能力を引き出す具体例として、イギリスで導入された「子供信託基金」を取り上げられました。これは、「所得の再分配」や「公共サービスの提供」といった従来型の福祉とは異なり、すべての子供に一定の資産を提供して個々の責任で使わせるという、いわば新しいタイプの福祉だと言えます。私たちは、「上から下へ」の一方的な福祉政策でも、「下からの」自発的な動きに完全に任せるわけでもなく、「下からのやる気」を「上から」駆動させるようなメカニズムを検討すべき時期に来ているのかもしれません。
会場からは、少子高齢化、労働移民、政府に対する信頼度といった論点が提示され、北欧型新自由主義を実際に適用するうえでの問題について討論が行われました。 (福田 宏)
私たちは北欧諸国に対して「成功した福祉国家」のイメージを抱いていますが、当の北欧諸国は1990年代以降、大胆な新自由主義政策を推し進めてきています。我が国においても、自由な市場社会を重んじる論者が、北欧を魅力的な地域として論じ始めています。つまり、右派も左派も今や北欧型社会が良いと言い始めたわけですが、これはどういうことなのでしょうか。
セミナーでは、北欧諸国にて法人税率の大胆な引き下げと柔軟な雇用制度が導入され、これらの国が「積極的労働市場政策型」新自由主義を目指していると説明されました。北欧諸国では、従来よりも失業のリスクが高まっているわけですが、失業者に対してただ失業保険を給付するのではなく、個々のニーズに応じた職業訓練を提供し、各人の潜在能力を活性化させて労働市場への復帰を促進する方策が取られています。
橋本氏は、個々の潜在能力を引き出す具体例として、イギリスで導入された「子供信託基金」を取り上げられました。これは、「所得の再分配」や「公共サービスの提供」といった従来型の福祉とは異なり、すべての子供に一定の資産を提供して個々の責任で使わせるという、いわば新しいタイプの福祉だと言えます。私たちは、「上から下へ」の一方的な福祉政策でも、「下からの」自発的な動きに完全に任せるわけでもなく、「下からのやる気」を「上から」駆動させるようなメカニズムを検討すべき時期に来ているのかもしれません。
会場からは、少子高齢化、労働移民、政府に対する信頼度といった論点が提示され、北欧型新自由主義を実際に適用するうえでの問題について討論が行われました。 (福田 宏)
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